第2回：歩行が“再発”するメカニズム — なぜ正しい歩き方が続かないのか？
「動きが整う3ステップ：赤 → 黄 → 緑」
「歩き方を整えたはずなのに、また元に戻ってしまう…」
そんな経験はありませんか？
実は、歩行は筋力よりも 脳の学習 に大きく影響を受けています。
だから一度よくなっても、少し時間が経つと “元の歩き方”に戻りやすい のです。
今回の第2回では、歩行が再発してしまう本当のメカニズムを、
専門家の目線から分かりやすく解説します。
1. 痛みが減っても「誤学習された歩行」が残っている
腰痛や膝痛があると、体は痛みを避けるために歩き方を変えます。
これを 代償動作（誤学習） と呼びます。
痛い側に体重を乗せない
反対側に逃げる
小股で歩く
足を外に流す
痛みが軽くなると「治った」と感じますが、
誤学習された歩行パターンは脳に残ったまま。
症状が良くなっても
“エラー動作が修正されていない” ため、簡単に再発します。
2. 正しい歩き方は「できるけど、定着していない」
施術直後や、意識して歩くと正しい動作ができます。
しかし、
無意識で歩いたとき
荷物を持ったとき
人混みで急いだとき
疲れているとき
こうした条件では、脳が“昔のパターン”を優先します。
つまり、
正しい歩行は「一時的にできるだけ」で、習慣化していない状態。
これも再発を招く大きな理由です。
3. 感覚のズレ（身体地図のエラー）
AI姿勢分析でもよく見られますが、
人は「真っすぐのつもり」が実は傾いていることがあります。
これは脳が描く 身体地図（ボディマップ） がズレているサイン。
身体の位置感覚がズレたままだと、
正しい歩行をしても脳が“違和感”を感じて元のクセに戻すため、
再発が起こります。
4. 日常生活が歩行を壊している
どれだけ正しい歩行を学んでも、
生活習慣が悪いと元に戻ってしまいます。
例えば：
長時間座りっぱなし
スマホ首
片側立ち
ぺたんこ靴の多用
階段を避ける生活
これらはすべて歩行のクセを悪化させる要因です。
「動きの教育」よりも日常習慣の力の方が強い場合、必ず再発します。
5. 再発を防ぐ鍵は「動作の書き換え」
歩行再教育は、次の 3段階の書き換え が必要です。
① 誤学習の発見（赤）
② 正しい動作の再教育（黄）
③ 無意識レベルでの定着（緑）
これは筋トレではなく 脳の学習プロセス。
ここを丁寧に積み重ねることで、
正しい歩行が“あなたの当たり前”になります。
まとめ：歩行の再発は“痛み”ではなく“動作”の問題
歩行が再発する原因は、筋力不足でも年齢でもありません。
原因は、脳が誤った歩行パターンを覚えたままだから。
正しい歩行は「一度できた」ではなく、
習慣として身体に定着したとき 本物になります。
次回は、
「第3回：歩行を改善するための“動作再教育”」 をご紹介します。
あなたの身体は、何歳からでも書き換えられます。
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臼井 宰介（うすい さいすけ）
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