第3回

脳は「正しい動き」より「慣れた動き」を選ぶ

赤・黄・緑の3分割イラスト。左は前かがみで腰から動く不安定な歩行、中央は脳のイメージ、右は姿勢が整い足が上がる安定した歩行を示している。

脳は「正しい動き」より、
慣れた動きを優先する。
歩行は意識ではなく、順番で変わる。

人は、

たとえ危険だと分かっていても

無意識に「慣れた動き」を選び続けます。

 

これは意志の弱さでも、年齢のせいでもありません。

脳の仕組みそのものです。

■ なぜ人は動きを変えられないのか

 

脳にとって一番大切なのは

**正しさではなく「省エネ」**です。

 

何度も繰り返した動き

 

考えなくてもできる動き

 

注意を向けなくても済む動き

 

これらは脳にとって「安全で楽」な選択肢。

 

そのため脳は

多少身体に負担があっても、慣れた動きを優先します。

■ 間違った動きが固定化されるプロセス

 

現場でよく見られるのが、次のような動きです。

 

すり足になる

 

腰から先に動く歩き方

 

足が十分に上がらない動作

 

これらは多くの場合、

 

「筋力が弱いから」

「年齢のせいだから」

 

と思われがちですが、

**実際には“脳が学習した結果”**です。

 

一度でも

「この動きで転ばなかった」

「この動きで歩けた」

 

という経験が積み重なると、

脳はそれを正解として保存します。

■ 転倒は“偶然”ではない

 

ここで大切な視点があります。

 

👉 転倒は偶然ではありません

👉 学習された動きの“結果”です

 

・足が上がらない

・反応が遅れる

・とっさに踏み出せない

 

これらはすべて、

長年使い続けた動作パターンの延長線に起こります。

 

つまり、

転倒は「その瞬間の失敗」ではなく

過去の動きの積み重ねの結果なのです。

■ 意識しても変わらない理由

 

よくある声があります。

 

「気をつけて歩いているのに」

「意識して足を上げているのに」

 

でも、

意識だけで動きは変わりません。

 

なぜなら、

脳が優先するのは

意識よりも“慣れ”だからです。

■ 本当に変えるべきもの

 

必要なのは、

「頑張ること」でも

「意識を強くすること」でもありません。

 

必要なのは

動きの順番を組み替えること。

 

脳が

「この順番なら安全だ」

と再学習できたとき、

初めて動きは変わります。

次回予告|第4回

歩行を変える鍵は「意識」ではなく「順番」

 

なぜ

「正しい姿勢を意識するほど歩きにくくなるのか」

 

そして

脳が自然に動きを変える“順番の作り方”を

次回、具体的に解説します。

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臼井 宰介(うすい さいすけ)

臼井 宰介(うすい さいすけ)

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