あなたは長年外来リハビリに通ってる患者様から、こんなことを言われたことはありますか? 「臼井先生。先生はすごく一生懸命見てくれてるけど、治らないよね。」
しかも冗談ではなく、真顔で。
長く通院してくれている人で、一番最初よりもかなり動けるようになり、自分もその患者様が大好きだし、患者様からも信頼されていると思っていました。
【俺だからここまで治せたんだ。他の人じゃここまで回復は無理だったろう】
【俺は養成校時代から勉強を人一倍している、技術には自信がある】
そのくらいリハビリに自信を持っていました。
でも、実際はそうじゃなかった。
はっきりと、真剣に、私に向かって『君は治せない』と教えてくれた。
そう言われた時を思い出すと、今でも苦しくなります。
だから、それまで以上に勉強をしていきました。
なぜ、私がそこまで人の体を治すことに一生懸命なのか?
それを説明するのには、少し私の過去を遡る必要があります・・・
25歳、肩の脱臼骨折で見捨てられた
実は大学卒業後は化粧品会社の営業をしており、リハビリの世界とは関係ない仕事についていました。
1993年当時25歳の時、ラグビーをしていて、右肩の脱臼骨折をし、手術を受けました。
手術しその後1ヶ月は消毒や経過観察のために入院。退院後も固定は2ヶ月し、計3ヶ月も肩を動かさずに治癒を待ちました。
(20年前のことですので、今のリハビリのように、手術後すぐに関節可動域訓練や、動かさない状態での筋力強化訓練はしない時代だった)
3ヶ月後に待ち受けていたのは、地獄のような外来リハビリでした。
どのような内容かというと、それだけ?と思う人もいるかもしれません。
右肩関節の屈曲を10回(簡単に言えば、理学療法士に手首を掴まれ無理やり上に万歳させられる)
ただこれだけです。
失神するくらいの激痛でした。3ヶ月固定していたため、自分で上げられて30度が限界でした。それを無理やり90度から120度まで上げていくのです。25の男が人前で泣くことなんて滅多にないことですが、涙が浮かんでいました。担当した主任クラスの理学療法士は「この治療1ヶ月半頑張っても、治らないかもしれないねー」なんて言うものですから、【嘘だ!絶対に耐えて元の体に戻してみせる!やってやる】と怒りを抑えてリハビリに臨んでいました。
今でも覚えているのですが、その当時の時代のせいなのか、それともその病院だけがおかしかったのかはわかりませんが、リハビリ中、私が痛みに耐え、もがきくるしんでいる地獄の訓練中に、その理学療法士は、笑っていたのです。
「クスクス」「クスクス」
しかも、近くでリハビリをしている他のスタッフも同様に。
患者が苦しんでいるのに、なぜこいつらは笑っているのか?
こんなに辛い思いをさせて治すのは間違っているのではないか?
人体の勉強をしてきた人が、なぜこんなにも患者を苦しめるのか?
その当時は、悔しかったけれども、治すために必死でした。
「患者に痛みを出さずに、苦しめることなく、体を治す方法は絶対にあるはず」
そんな風に思ったことが、私がこの業界に入るきっかけになったことは間違いありません。
リハビリから3ヶ月が経過し、結局私の腕は地面から120度までしか上がらない状態で、外来リハビリは終了しました。
「ここまでやったんだから、あとは自宅で自分でやってね」理学療法士は悪びれるでもなく、そう言っていたのを今でも覚えています。
担当医からも「自分で頑張って半年後とか1年で元に戻るかもしれないし、もしかしたら、完全には上がらないかもしれない。」
私はそう宣告されて、絶望を感じました。
大好きだったラグビーも、野球も、もう復帰できないかもしれない・・・人生の中で一番がっくりきたのはこの時だったと思います。
こんなことで治るの?
リハビリが終了して2日が経過した日、私の運命を大きく変える出来事がありました。
自宅で右腕のリハビリをしながら、大好きなロッキーを見ていた時でした。
感動シーンで、リラックスしながら、壁づたいに右腕を上げていきました。
そこで私は大きな異変に気が付きました。
「あれ・・・?腕挙げていってるのに、涙の出る激痛がない????????」
私は腕を確認するために、鏡の前で、リラックスしてふにゃふにゃしながら、壁づたいに腕を挙げていったのです。
腕、150度まで上がっている!
信じられませんでした。あの激痛で120度が精一杯で病院に見捨てられて2日しか経ってないのに、30度もさらに上がったのです。しかも痛み少なく。
嬉しくて嬉しくて何度も挙げましたが、いつも150度上がっていました。
「人はリラックスしている方が挙げやすいんじゃないか??」
解剖学も生理学も運動学も何も知識のない状態で、このような疑問が浮かんできました。
それを確かめるために私は、ありとあらゆる整骨院や整体に通いました。
炎症だから冷やそうと肩に氷を当てる接骨院。
肩をホットパックで温めてから肩をグリングリン大きく回す店。
指先を治療していく整体。
総数60件廻りました。でも、自分の治療を超える店は0でした。
疑問は確信に変わりました。
痛く無理やり動かそうとするよりも、気持ち良いリラックスした状態が、人の筋肉は一番動くことのできる方法なのだ
と。
理学療法士になろう!
私は自分の経験をもとに、理学療法士になることを決意しました。
自分は誰よりも痛みのない治療法で苦しんでいる患者さんを幸せにできる
という確信が人一倍ありました。
だって、医学を学んだ人が誰一人私の肩を治せなかったのですから。
そこから、日中は埼玉の理学療法の大学に行き始め、資金が足りないから警備員のバイトも掛け持ちしました。
しんどかったですが、患者を早く救いたい炎が私を動かしていたのだと思います。
養成校を優秀な成績で卒業し、整形外科の病院に入社することができました。
卒業してからも勉強を怠ることはなく、ボバース、PNF、AKA・・・色々なセミナーに行きまくりました。
時には患者のふりをしてその手技で有名な先生の病院に偵察し、出てきた患者に感想を聞くリサーチもしたり。
いいと言われているありとあらゆる手技の勉強をしてました。
勤め始めてから約7年が経過し、
「自分には治せない患者はいないし、難しい症例でも、他の理学療法士よりも高い成果は出せる」
「勉強を怠ることなくいつまでも学び続けているから、技術力が私にはある」
と正直天狗になっていました(今考えるとお恥ずかしい・・・)。
そして冒頭の患者様に真顔で治せないと言われてからは、さらに猛勉強をするようになり、治療技術も、職場での地位も高くなっていきました。
勉強していく中で、25歳の時に思っていた「人間はリラックスした状態で施術を行うのが一番ゆるむ」手技の習得もできました。
私の施術を受けられた患者様は
「こんなソフトタッチで緩むなんて信じられない」
「緊張状態から、力が抜けてくのがわかる」
「今まで受けたリハビリは無理やり伸ばしてストレッチしたり強く押すだけだった。
この麻痺の腕がここまで伸びたことは一度もなかった。こんな緩まる方法があったなんて!」
と、とても喜んでいただけています。
この技術をもっと日本・世界の人に広めたい
現在私は千葉県市川市にて、整体院を開いております。
そこには、どこにいっても治らず、25歳の私のように、
「完全には治らないかも、あとは自分で頑張って」と医学を学んだプロから見放され絶望している人が沢山訪れます。
私はそんな患者様を見ていく中で、
「なぜ治療家は、患者を幸せにする技術を追求していかないのか?」と
考えるようになり、
自分の経験も含め、今まで17年間培ってきた技術を医療従事者に伝えていきたいと思い、
「TSF協会、足から患者様を笑顔にする協会」を立ち上げました。
私の技術の全てを治療家に向けて実技指導をするセミナーを月1・2回開催しています。
この技術は、簡単に習得できるものではありません。
なぜかといいますと、手技の獲得だけであれば、1日で行えます。
しかし、理論の部分を理解するのに、最低でも半年以上はかかります。
この理論ははっきりいってここには書ききれないほどの理論で構成されています。
少しだけ紹介するなら・・・
- アナトミートレインに基づいた筋膜のつながり
- 実際に私が海外の解剖実習で得てきた知識(どの動きで筋肉がどこに潜り込むか、筋膜の走行はどうかを実際にこの目で見てきました)
- 人体生理学の知識(屈曲反射、交差性伸展反射、相反抑制、腱の構成や特性など)
- 私が学んできた技術や理論(PNF・hold and relax、立位の正しい重心のかけ方の比率)
- 歩行の運動学(歩く時、どこからどの角度でついて、その時に全身の関節はどのような動きをしていくのが正常なのかを判断し、逸脱していると言うことはどのようなことが評価できるのか?スクリュームーブメント、ローリング機能など)
- 解剖学(正常なかかととアキレス腱の状態、神経の走行、靭帯の走行、筋肉の走行、足底の皮膚の状態、足部のアーチ)
- 歩行の評価の仕方(蹴り足と踏み込み足の足部や体幹、下肢の見方とその解釈から基づいた治療手順の立案)
- 痛みが取れた後に行う筋トレの重要性と、その方法(理論含め)
私は患者様をみるときは、誰でも真似するだけで簡単に出来る小手先だけのテクニックだけに頼るだけでは、根本からの改善は難しいと考えています。
人体の正常を知り、正常から逸脱した理由を考え、そこから導き出される治療法を行って、さらに改善した後に再発を予防する体づくりまで踏み込んでこそ、「根本改善」だと考えています。
はっきりいって、セミナー中の私は厳しいです。
真剣に悩む患者様のことを想って治療するのに、小手先だけになって欲しくないから。
私は
「すべての患者様を改善し、将来の不安をすべて取り除きたい」
そのような気持ちで患者様にも接しますし、治療家のあなたにも接します。
きっとこのブログを読んでいただいているあなたは、たくさん勉強され、たくさんの人を笑顔にしてきているでしょう。
「患者様のために学び続ける」
私も同じ気持ちです。
もし、私の臨床経験17年の技術を加えることで、あなたの患者様がもっと笑顔になれるなら、そのお手伝いをさせてください。